#30 鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (1)       砂の城
#8407/8413 ワールド「世界の旅」
★タイトル (XEH83411)  94/ 9/ 6   8: 0  ( 23)
鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (1)        砂の城
★内容
*** 概略編 ***
旅行期間  '94,8,23 〜 '94,8,31 (9日間)
 1日目 北九州〜福岡〜韓国(釜山)    釜山泊
 2日目 釜山観光             釜山泊
 3日目 釜山〜慶州            慶州泊
 4日目 慶州観光             慶州泊
 5日目 慶州〜ソウル           ソウル泊
 6日目 ソウル観光            ソウル泊
 7日目 ソウル観光            ソウル泊
 8日目 ソウル観光            ソウル泊
 9日目 ソウル〜釜山〜福岡〜北九州
**************************
 福岡から釜山へは「ビートル2」で海からのアプローチ。
釜山−慶州−ソウルの往路移動は高速バスを利用。復路の
ソウル−釜山は鉄道、そして再び「ビートル2」で福岡へ。
                 「砂の城」(北九州)
#29 鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (2)       砂の城
#8408/8413 ワールド「世界の旅」
★タイトル (XEH83411)  94/ 9/ 6   8: 3  ( 30)
鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (2)        砂の城
★内容
*** 入国編 ***
 海からの入国にワクワクしている僕を後目に、妻はやはりマイペース
だった。海上は穏やかでゆれもない、何か見えないかと海上をキョロキ
ョロしている僕とは対象的に妻は熟睡している。
 早朝に家を出発し、北九州から高速バスで福岡に向かった。しかし、
強烈な渋滞でとても博多駅からのシャトルバスの時間には間に合わない。
運転手に相談するとターミナルに近いバス停を教えてくれた。これなら
間に合うはずだ。
「どうするの?」
 下車すると、妻が寝ぼけ眼で聞いてきた。僕は2人分の荷物を背中に
感じながらも「歩くんだ」と気合を込めた声で言った。それからとぼと
ぼ炎天下の中を歩いて15分、やっとターミナルに到着。だが、釜山行
きのターミナルが見あたらない。近くで案内図を見ると、国際ターミナ
ルはなんと、遥か彼方、湾の反対側だった。
「ゲゲッ!間違った。しかたないタクシーに乗ろう」
 ここまで歩いて流した僕の汗はいったい何だったのだろうと思いつつ
タクシーに乗り込むと「初めからタクシーに乗ればよかったのに」と悪
魔の様な言葉をささやく妻だった。
 船に弱い妻も水中翼船だとゆれが気にならないらしく元気だ。2時間
50分の船の旅も快適だった。入国審査もスムーズで、換金してからタ
ーミナルを出た。船内の大半を占めていた日本人の姿が蜘蛛の子を散ら
したように消え失せている。どうやら現地係員が連れ去ったらしい。ギ
ラギラ照りつける日差しの中、僕らは市内目指して歩き出した。「韓国
もやっぱり暑かった!」これが、韓国に着いた時の第一印象だ。
                   「砂の城」(北九州)
#28 鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (3)       砂の城
#8417/8426 ワールド「世界の旅」
★タイトル (XEH83411)  94/ 9/ 7   8:18  ( 44)
鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (3)        砂の城
★内容
*** 宿泊編 釜山***
 妻の引きつった顔に気づいてはいたが、「何事も経験だ」と僕は強気の
姿勢で2泊頼んだ。今回の旅行では釜山、慶州、ソウルと3箇所で宿を捜
す必要があった。旅を安くあげるためには、安宿を見つけるのが一番だ。
それに安宿はその国を知るうえでもいいと思ったからだ。
「怒ってる?」
「ううん」
 妻は否定したものの不満の色が顔いっぱいに広がっている。1泊17000ウ
ォン(約2200円)の部屋は6畳弱のオンドル部屋。僕はこれがオンドルパン
だ、と多少感動していたのだが、妻から見るとずいぶん違って見えるよう
だ。床はリノリューム張りで、部屋の中では扇風機がうなっている。小さ
なエアコンがついているものの、夜しか使えないと宿の小母さんは言う。
結局、夜になっても使えなかったのだが。隅にはせんべい布団がまっ昼間
からひいてあり、いっけんすると田舎の連れ込み宿のようでもある。
「何事も経験だ」
 僕は繰り返しこの言葉で妻を攻めたが、あまり効果はなかった。
 翌朝、妻の顔を見て絶句することとなった。
「何だよ。その目?」
「何かに刺されたみたい・・・」
 妻の瞼は大きく腫れて、お岩さん状態だった。妻が言うにはこの部屋に
はノミか何かがいるらしい。その日、出かけるときに扉の開いている部屋
を覗いてベッドのある部屋を見つけた妻は、夕方、小母さんに部屋を変え
てくれと交渉を始めた。(宿の小母さんは日本語を話す)
 妻は虫に刺されたのは床に寝たからだと結論を出していた。小母さんは
面倒なのか今の部屋にしなさいと言い続けたが、妻は断固としておれなか
った。
「昨日は腰が痛くてぜんぜん眠れなかったんです。どうしてもベッドのあ
る部屋に変えて下さい」
 妻の熱弁は続いている。実は僕も床が固くて夜中に何ども目が覚めたの
だ。20年間ベッドを愛用しているからしかたないとも言えるが、ここは
ぜひ、妻に頑張ってもらいたい。
「じゃあ、503号室」
 小母さんがついに折れた。僕はホッとしつつも、昨晩9時から今朝の7
時まで熟睡していた妻の寝顔を思いだしていた。あれで眠れなかったとい
うのなら、僕の場合、一睡も出来なかったと言うべきかもしれない。
 503号室の作りは同じだがダブルベッドが部屋の大半を占領している。
しかもエアコンが壊れてなかったので、その晩僕らは快適な眠りを得るこ
とができた。夜中、トイレに起きると巨大ゴキブリが出現したのには、少
々まいったが・・・。
                   「砂の城」(北九州)
#27 鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (4)       砂の城
#8432/8435 ワールド「世界の旅」
★タイトル (XEH83411)  94/ 9/ 8   8:34  ( 38)
鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (4)        砂の城
★内容
*** 宿泊編 慶州、ソウル ***
「ぜったいオンドル部屋はヤダ!」
 どうやら虫に刺されたのがこたえたらしく、慶州では絶対にオンドル
部屋には泊まらないと言っている。止む終えず1泊30000ウォン(約3800エン)
のホテルを見つける。値段が上がったぶん韓国らしさは薄くなった。ち
ょっと寂しいものの、しかたないか・・・。
 夜、のんびりとバスタブに浸かった後、栓を抜くと、なにやら怪しげ
な音がする。何かな?と思って外をみると洗面台の下あたりから排水が
逆流しているではないか。うまく排水されていない。原因はさだかでは
ないが、どうやら先客がここでゲロしたらしく、そのカスのような物が
プカプカ浮いている。
「ひょえ〜、キッタネェ!」
 僕はあわてて足で栓を塞ぎ、ゆっくりとバスタブの水を流した。妻
にそれを話すと、それでもオンドル部屋よりいいとのことだった。
 妻のこの決意はソウルに着いても変わることはなかった。ガイドブッ
クで見つけていたホテルにむかったが、料金を聞くと高い。しかも受付
の態度がデカイのでやめた。2件目は満室で断わられた。そういえば今
日は土曜日だ。あまりぜいたくを言える状況ではない。
「より好みしてると泊まる所なくなっちゃうから、オンドルでも我慢し
てくれよ」
 後ろからブウたれて着いて来る妻に僕は言い続けた。目の前に温泉マ
ークを発見。早速扉を開ける。
「どうしたの?」
 あわてて扉を閉めて戻ってきた僕を妻は訝しげに見ている。
「いや、あまりにひどかったから・・・」
 そこは釜山の荘旅館よりさらにひどかった。こんな所、妻がOKする
はずがない。それからしばらく歩いて見つけたホテルは、1泊41200ウォン
(約5200エン)。値段が高いぶん、今までの部屋とは違っていた。
「すごいじゃん、照明にきれいなカバーがついてる」
 釜山では蛍光灯がむき出しになっていた。慶州では汚いカバーがつい
ており、中は虫の死骸でいっぱいだった。
「おっ、冷蔵庫もある」
 当り前のことによろこぶ鴨ネギ夫婦であった。
                     「砂の城」(北九州)
#26 鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (5)       砂の城
#8438/8457 ワールド「世界の旅」
★タイトル (XEH83411)  94/ 9/ 9   7:57  ( 44)
鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (5)        砂の城
★内容
*** 乗り物編 高速バス ***
 釜山から慶州へは高速バスを利用した。しかもリッチに優等高速バスだ。
韓国の高速バスには普通とデラックスの2タイプがある。料金はデラックス
バスだと普通バスの1.5倍になるものの、快適なシートなので疲れをためなく
て最高である。釜山から慶州の1h20に味をしめて慶州からソウルへの4
hも優等高速バスを使うことにした。慶州を出発して1時間程たっていた。
「ねぇ、途中トイレ休憩あるよね」
 妻が不安そうに聞いて来る。僕ら夫婦は異常にトイレが近い。出発直前に
トイレへ行ったが、朝食のコーヒーが効いたのか妻も僕も既に尿意を感じて
いた。
「大丈夫さ、1、2箇所で休憩するはずだよ。もう我慢できないの?」
「まだ1時間くらいなら大丈夫だけど・・・」
 僕も自分の膀胱具合いを確かめた。同じくらいだろう。だが、30分もた
たないうちに妻の顔から笑いが消えていた。
「どれくらいもちそう?」
「15分くらい」
 僕はヤバイなと感じた。その時だった。バスの前方で客がざわめいた。
「うわー!もの凄い渋滞だ。万事休す!」
 2人の顔から血の気がひいた。渋滞の列は遥か彼方まで続いており、全く
動く気配がない。運転手もそれを見て、バスの扉を開け外に出て一服しはじ
める始末。周囲の車からもドライバーが降りている。
「降りるぞっ!」
 僕は決心して妻の手を引いた。背に腹はかえられない。僕らは高速道路の
垣根を越えて外にでた。妻は道路脇の葡萄畑のしげみで、僕は垣根の陰で危
篤状態を脱した。
「見られなかったか?」
 僕はしげみから戻ってきた妻に聞いた。
「大丈夫、確認したから」
 僕らは再び垣根を乗り越えて高速道路に戻った。そばに停車している何台
かのバスの窓から僕らの行動を見ている目が幾つもあった。「う〜っ、恥ず
かし!」
 それでも僕らは身軽になった身体でバスのステップを軽快に駆けのぼって、
自分の席に戻った。
その後、バスは動いたり止まったりをくりかえしながら、1時間後にサービ
スエリアへ滑り込んだ。他の乗客はジュースやコーヒーを買い込んだりして
いたが、僕らは身体にのこった水分をさらに絞り出すことだけに専念。
 それからの2時間は快適なドライブとなった。ソウルには1時間20分の
遅れで無事到着。
       「人間、いざとなれば何でも出来る!?」
                    「砂の城」(北九州)
#25 鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (6)       砂の城
#8447/8457 ワールド「世界の旅」
★タイトル (XEH83411)  94/ 9/10   9: 3  ( 42)
鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (6)        砂の城
★内容
*** 乗り物編 観光バス ***
 釜山で半日市内観光のバスに乗ることにした。これはひろみつさんが
利用した1日観光と同じところのものだ。バスに乗ると乗客は僕ら夫婦
と運転手、ガイド、そして韓国人夫婦と年輩の日本人男性1人の計7人。
ひろみつさんの時よりは多いものの、バスはガランとしていた。平日は
いつもこんなものなのだろうか。とにかく乗客の数より無賃乗車してい
るハエの数のほうが圧倒的に多い。
 まずは竜頭山公園に向けてバスは出発。僕ら日本人3名はガイドと共に
釜山タワーに登って市内を一望してからバスに戻った。出発は10時50
分と言われていたのでジャストタイムだ。バスに戻って一息つくと、運転
手がガイドに何か言っている。あわててガイドがバスから降りて辺りをキ
ョロキョロしている。どうやら韓国人夫婦を捜しているらしい。
「どうしたんだろうね?」
 僕らもバスの中から夫婦の姿を捜した。時計は55分をさしている。
時間にルーズな夫婦なのだろうかと思っていたら。運転手がガイドを呼
び戻した。まさか!?と思ったが驚いたことに運転手はドアを閉め、ア
クセルを踏み込んだ。時計は57分。たった7分待っただけで、なんと
韓国人夫婦はその場に置き去りにされてしまった。
「なんて気の短いやつなんだろうね」
 僕は妻とあきれていた。ガイドも慌てているところを見ると、どうや
ら運転手が特別短気な性格らしい。バスは何事も無かったかのように、
チャガルチ市場と太宋台に向かった。観光を終えてバスに戻るとまたま
た驚くことになった。あの韓国人夫婦がいるのだ。しかも、カンカンに
怒っているではないか。それからが大変だった。
 御主人は一言、二言で止めたが、奥さんがものすごい剣幕で運転手に
喰ってかかっている。運転手も負けじと言い返す。しかもバスは動いて
いるのだ。
「危ないな、運転手が興奮してるぞ」
 僕は妻に何処かへ捕まるように指示して成行きを見守った。だが、小
母さんは更に激しく運転手を罵っている。運転手はついに後ろを振り向
いて言い返し始めた。その間、バスは対向車線にはみ出して走行してい
る。たまらず、年輩の日本人が「やめろ!」と韓国語で連呼する。それ
でも小母さんは絡み続けた。今にもつかみ合いになりそうな雰囲気。
 バスの中がやっと静かになった頃には釜山駅に戻っていた。運転手も
運転手だが小母さんも小母さんだ。他の客のことなんて全然考えてない。
とんでもない観光バスに乗り合わせてしまった。でも、観光以上になん
だか珍しいアトラクションを見たようで楽しかったのも事実だ。
                  「砂の城」(北九州)
#24 鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (7)       砂の城
#8454/8457 ワールド「世界の旅」
★タイトル (XEH83411)  94/ 9/11   8: 0  ( 32)
鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (7)        砂の城
★内容
*** 乗り物編 地下鉄 ***
 なんと言っても安さ爆発! 料金が乗車駅から11駅までなら350ウォン(約
45エン)というのは嬉しいかぎり。ホームに向かう時、上りと下りを確認する
のに多少の苦労はあるものの、やはり観光客にとっては一番利用価値が高い
乗り物が地下鉄だ。でも、ソウルでは、朝と夕方のラッシュアワーは避けた
ほうが無難。なんせ東京並の寿司詰状態だった。
*** 乗り物編 国鉄 ***
 ソウルから釜山への復路は超特急セマウル号の極太室(ファーストクラス)を奮発
した。名前を聞くと凄いが料金は2人で58000ウォン(約7300エン)だから、日本
のJR感覚からしては高くはない。もちろん韓国の人にとってはそんなこと
言うと失礼だろう。ソウルと釜山を4h10でつなぐこの列車の旅は快適そ
のものだった。シートはゆったりとして全く疲れることがない。妻はここで
も2時間の熟睡をしていた。
 朝食を済ませて乗ったため、お腹はすいて無かったが、食堂車がどんなも
のか見たくて、コーヒータイムと洒落た。コピ(コーヒー)とコルラ(コーラ)を注文し
たらインスタントコーヒーが出たのには目がテン。せめて紙コップだけはや
めてほしかった・・。
*** 乗り物編 市内バス ***
 釜山、ソウルの渋滞を見る限り、バスだけは乗りたくないと思った。しか
し、慶州ではそんなこと言ってられない。なんせ地下鉄がないからだ。でも、
うまく出来たもので慶州のバスはすっごく分かりやすい。名所を循環してい
るからだ。バスには2種類ある。普通のバスと座席バスだ。普通バスはエア
コン無しの少しくたびれたバス。座席バスはエアコンの効いたきれいなバス
だ。そのかわり料金が約2倍する。それでも安いから旅行者には嬉しい限り。
                  「砂の城」(北九州)

#23 鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (8)       砂の城
#8461/8461 ワールド「世界の旅」
★タイトル (XEH83411)  94/ 9/12   8: 1  ( 53)
鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (8)        砂の城
★内容
*** 観光 その1 ***
釜山タワーVSソウルタワー
 竜頭山公園にある釜山タワーの展望台の高さは118メートル。市内が一
望出来る。外観は竜の頭というよりも、煙突そのもの。それにしても高い。
のんびりしたいが市内の半日観光できたのでゆっくりも出来なかった。
 ソウルタワーは近代的。展望台までが120メータほどあり、その上に1
00メートルちょっとのアンテナをたてて240メートル。ちょっとインチ
キだぜ。途中ロープウェイで一気に頂上をめざす。雨上がりで街が霞んでい
る。夕暮れに登ったので暗くなるまで待つことにした。
 人口1千万の大都市の夜景はなかなかなもの。それが証拠に妻はロマンチ
ックな気分にどっぷり浸かってしまい、やたらベタベタとまとわりついて来
る。そういえばシドニータワーやエッフェル塔も夜登ったっけ。その時も妻
は猫になっていた。と、言うわけでソウルタワーの勝ち!?
 慶州は日本の京都の様なところ。仏国寺、石窟庵、古墳公園、慶州博物館
、普門湖周辺を市内の循環バスで回った。ひとつひとつ感想を書かなければ
ならないのだろうが、ちょっと膨大な量になってしまうので、今回はパス。
ただ、普門湖の水は完全に干上がり遊覧船が寂しそうにしていた。ここも水
が無いのだ。韓国の中部、北部は問題はそれほど深刻ではないようだが、南
部は川も池も干上がって苦しそうだった。
 観光とは関係ないが、韓国に来てから、やけに視線を感じる。見かけは同
じでも彼らから見ると僕らは異質なのだろうか。観察されているのがわかる。
日本人の海外旅行先NO1の国、韓国だが、実際日本人との遭遇率は高くは
ない。とくに地下鉄や市内バスで見かけることはまれだった。もちろん仏国
寺などの観光施設は別だ。
 しかし、よく見ると確かに日本人と韓国人はずいぶん違うではないか。韓
民族はとにかく身体が大きい。男も女も。骨太い感じがする。顔もずいぶん
違う。エラが張っているし、顔自体が大きい。女の人の特徴として、みんな
眉の処理をしているし、色白だ。だから少し大人っぽい感じがする。都会に
近付くにつれて超ミニが多くなり惜しげもなくきれいな足を・・・。いや、
これは関係ないか。
国立中央博物館
 ソウルの2日目は雨だった。そこで民族村を断念して博物館に向かった。
2時間もあれば十分だろうと思っていたが、見終わってみると5時間をつい
やしていた。なかなかのボリュームで見応えあり。まさしく日本の文化は韓
国から伝わったことをひしひしと感じさせられた。
景福寺
 国立中央博物館の裏にある。正確には景福寺の敷地内に博物館があると言
ったほうがいい。復元されたものとはいえ素晴らしいものばかりだった。な
ぜかここで結婚式の写真をとっている夫婦を見かけた。服装はタキシードと
ウエディングドレス・・なんでやねん?
 敷地内の奥にある国立民族博物館は勉強になった。前日に中央博物館に行
ったのだが、自分の見ている展示物が、生活の中でどのように使われている
のかわかりづらかった。でも、ここでは模型をたくさん使ってそれらの使わ
れてきた様子を再現していた。僕らは「なるほど」「そうだったのか」とう
なずきあって、時間のたつのを忘れていた。
                  「砂の城」(北九州)
#22 鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (9)       砂の城
#8472/8474 ワールド「世界の旅」
★タイトル (XEH83411)  94/ 9/13   8:54  ( 39)
鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (9)        砂の城
★内容
*** 観光 その2 ***
ロッテワールド
 日本からはたくさんのツアーがここ目指して出発している。僕自信あ
まり興味はなかったけど、ソウルでは2日間雨に見回れたため、全天候
の遊園地は民族村の代わりに急きょ組み込むこととなった。まあ絶叫マ
シーン大好き少年なもので、室内のジェットコースターには乗ってみた
いと思っていた。
 そこで僕らの乗った物には勝手に点数をつけることにした。(5点満点)
・ダイナミック・シアター ・・・スクリーンに映し出された映像で錯覚を起こさせる
         もの。意外に面白かった。 4点
・風船旅行 ・・・ 気球のゴンドラに乗り、建物内をゆっくり移動。韓国
        では人気があるらしいが、退屈だった。子供向き。2点
・ワールドモノレール ・・・ 名前の通りモノレール 2点
・地下探検ボート ・・・ 巨大な浮き輪(椅子付き)に乗って人工的な川
          下るアレです。濡れないのでつまらない。2点
・フレンチ・レボリューション ・・・ 室内ジェットコースター。室内なので動きが小
         さい。ハンドアップしたくても片腕が出せないなどの
         欠点はあるものの3回乗った。  4点
・シンドバットの冒険 ・・・ 子供用だね。 2点
・スペインの海賊船 ・・・ いわゆるドラゴンとかゴンドラとかいうやつ。
             3点
・ワイキキウェーブ ・・・ 悪魔のゆりかごとかトップスピンとか言われているや
        つ。でも、搖れるばかりで最後まで回転しなかった。こ
        の裏切りは許せない。1点 初めての人には楽しめる。
・マラケシコースター ・・・ ウォーターコースター。意外に面白い。運がわるければずぶ濡れ。
        更に、安全ベルト類が無いので目いっぱいハンドアップ
        できる。ただしこれでハンドアップする人はまれ。なぜ
        なら落水の可能性あり。 ハンドアップすれば5点
 他にも乗ったけどまあ似たりよったり。2度行くところではありません。
もちろん、小さな子供たちにとっては最高の遊園地だし、雨の日や寒い季
節にはバッチリよ。
 翌日、右腕が痛いので袖をまくってみると、アザが出来ていた。フレンチ
レボリューションで、むりやりハンドアップして、安全バーとボディにはさ
まれたせいだ。
                    「砂の城」(北九州)
#21 鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (10)      砂の城
#8477/8479 ワールド「世界の旅」
★タイトル (XEH83411)  94/ 9/14   8:40  ( 41)
鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (10)        砂の城
★内容
*** 食べ物 ***
 出発前に、韓国料理にはどんなものがあるのか調べた。ガイドブックには
写真入りで載っている。
 食べた物を羅列するべきか迷うが、気に入った順に名前だけあげることに
しよう。
 石焼きビビンパブ、プルコギ、ガルビ、うどん、マンドゥクク、山菜ビビ
ンパプ、カルビタン、キムチボックンパプ、パジョン、ムルネミョン、・・。
 まあ、店により当たりはずれもあるだろうから、一度の旅だけではなんと
もいえない。妻は肉が苦手なので、この旅でかなり苦労していた。しかも辛
いのも苦手なのでなおさらだろう。そのためできるだけ韓国料理を食べたい
と思いつつも、妻の胃の調子を気にする必要があったため、3回に1度はパ
ン系の食事をとらざるをえなかった。
 韓国料理を一言ではいえるわけがないのだが、むりやり言うなら、辛いも
の以外は非常に薄味。肉類は甘すぎるくらい。それでバランスをとっている
のだろう。妻にはつらい料理も僕にはどれも意外なくらいに美味しくいただ
けた。
 食べ物とは直接関係ないものの、食事のマナーは気になる。釜山でレスト
ラン風の食堂に入り、キムチボックンパプを食べていたら、若者が6、7人
入ってきた。よい機会なので、彼らの食事風景を観察させてもらうことにし
た。ここは椅子にテーブルといったごく普通のレストランだが、食べ物が運
ばれると、片足の靴を脱ぎ、椅子の上でたて膝をした。よくみると全員がた
て膝をしている。ここは韓国なので決して無作法なことではないのだろうが
日本人の目からは、やはり異様である。
 オンドル部屋に座ったときなら気にならないが、椅子の上でのたて膝には
少々抵抗がある。日本でもお婆あさんが椅子の上で正座することがあるが、
あれを行儀いいと言う人はいないだろう。もしかすると韓国でも椅子に座っ
たときのたて膝は、よくないのかもしれない。なぜならそれ以外のところで
椅子にたて膝している風景をみることがなかったように思うからだ。
 韓国では箸は副菜を取るときに使うものでご飯を食べるためのものではな
い。だからご飯を救うのはスプーンの役目だ。しかし、日頃の習慣で、どう
しても箸を使いそうになる。目を離すと、妻は容器を手にもって箸で食べて
いる。
 9日間、毎日キムチだけは食べつつけた。意識したわけではないが、何を
注文してもキムチはついてくる。キムチは店それぞれの味があり、美味しい
もの、ただ塩辛いものなどさまざまだった。
                 「砂の城」(北九州)
#20 鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (11)      砂の城
#8491/8498 ワールド「世界の旅」
★タイトル (XEH83411)  94/ 9/16   8: 5  ( 57)
鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (11)        砂の城
★内容
*** 買物編 ***
 旅先で買物をする趣味は僕にはない。買物は妻の担当だ。だから帰国
してみると、僕自身の土産物はデンデン太鼓のうちわがひとつあるだけ
だ。これも暑くて買っただけのこと。妻は釜山でハッシュパピーの靴を
買うことから始まり、各地で小物をあさり、ソウルで皮ジャンを買うこ
とで終わった。ソウル南大門市場での買物風景をレポートしよう。
 その日は朝から雨が降っていた。傘は2本もっていたが、そうすると
話がしにくいのでアイアイ傘で歩くことにした。豚の顔を見て喜び、妻
が密かに目当てにしている皮製品の店が並ぶとうりに入った。雨だとい
うのに熱心に呼び込みをしている。
「お兄さん、見るだけでいいから中入って」
 これが、あちこちから聞こえて来る。もちろん日本語。その中の一軒
で、僕らは捕まった。いきなり傘の端っこを掴み離さないのだ。こっち
もまけじと引っ張るがこれ以上引っ張ると傘が壊れてしまいそう。僕ら
夫婦は運動会の綱引きで負けたチームのようにズルズルと店の中に引き
ずり込まれた。
 この店員、日本語はべらべらだ。あの手この手で迫って来る。その内、
妻がアルマーニの皮ジャンを見つけた。もちろん偽物だろう。店員は本
物だと言い張って。ライターでジャンパーをあぶる。
「ちょっと待って、ちょっと!」
 僕は慌てて止めた。店員は調子にのってますますあぶり続ける。店員
にとっては効果的なパフォーマンスのつもりだろうが、こっちとしては
買うかもしれないジャンパーに火をつけられたのではたまらない。だが
そんなこと口にするわけにはいかない。執拗なライター攻撃をしたあげ
く値段交渉に入る。
「うんと安くします。大丈夫。4万8千円」
「たっかーい!」
 僕ら夫婦は絶叫した。すかさず店員は電卓をはじく。
「4万5千円にこのTシャツつけます」
 店員はそばにあったシャネルのTシャツを掴んでいる
「そんな物いらないからもっと安くして」
 こんな交渉がしばらく続き、店員が言った。
「じゃあ、いくらなら買ってもらえますか」
「2万円!」
 店員は渋い顔をしている。
「それでは店は赤字です」
「でも、私たち貧乏だからそれくらいしか出せない」
 妻も強気だ。ここでの交渉はすべて妻にまかせている。今日の妻は横
で見ていても関心するほど熱心だ。その後、徐々ににじりより、2万7
千円にTシャツを着けて買うことになった。もちろん火あぶりにされた
ジャンパーなんて御免なので、在庫を引っ張りださせた。
 偽物でも、羊皮で柔らかく、背中に入った刺繍がかっこいい。だが、
妻の交渉はまだ終わっていなかった。今度は僕に向かって交渉を始めた。
なんと僕に1万だせというのだ。そうすれば僕にもたまに貸してやると
言う。僕ら夫婦はだいたい同じ背丈なので、上着を共有することがしば
しばある。妻は、そこに付け込んできたのだ。だが、僕がこのジャンパ
ーに袖を通すことはあるのだろうか? そう思いつつも援助してやるこ
とにした。靴に続き大きな出費だ。
 身内へのお土産はキムチと干物。釜山のチャガルチ市場で買ったイチ
ジクの干物は入国の際、検疫で引っかかるかとも思ったが、ジャンパー
とともにバックの奥深くに押し込まれ、むりやり僕らの記憶から消され
ることとなった。
                   「砂の城」(北九州)
#19 鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (12)      砂の城
#8517/8519 ワールド「世界の旅」
★タイトル (XEH83411)  94/ 9/18   9: 3  ( 20)
鴨ネギ夫婦、韓国へ行く − (12)        砂の城
★内容
*** おまけ編 最終回 ***
 と、ゆうわけで・・韓国旅行記も最終回を迎えることになりました。
なんだか視聴者率が低くて途中で打ち切られる不人気番組みたいですが
ご勘弁を。
 僕ら夫婦は旅行中はのんびり、ぐっすりが定着しています。だから宿
でもTVを見る時間がたっぷりあったりします。お笑いやメロドラマな
んかも日本と同じですね。時代劇なんかもよく放送しているみたいで、
日本が韓国を侵略している物もありました。ひとつはお笑いになってい
ます。主人公は韓国人で、間抜けな日本人に扮する役者が勝手なことを
わめき散らしたり、言うことをきかない主人公に腹を立てて暴力をふろ
うするけれど逆にねじ伏せられたりするシーンで構成されています。そ
の滑稽な日本人のしぐさを笑いにしているみたいです。ちょっと複雑な
気持ちですね。
 とっても近い国、韓国。今度はぜひ冬に、田舎の方を訪れてみたいと
思います。
                   「砂の城」(北九州)